なぜ今、「親孝行したい」
と思うのだろう?
30~40歳代の方が「親孝行をしたい!」と思うのはなぜでしょうか。
30~40歳代は、共働き世帯が多く、給与収入の伸びも高い時期なので、アクシデントがない限り、家計に余裕がある世帯が多いと言えます。一方で、この年代は親が定年を迎えて年金を貰い始めたが、まだまだ元気というケースが多いです。
金銭的、時間的に余裕があり、親も元気なこの年代だからこそ、必然的に「親孝行をしたい!」と思う方が多いのでしょう。
親孝行したい!とは思っても・・・
「親孝行」と言われると、高級レストランでの会食や家族旅行をイメージされる方が多いのではないでしょうか。実際に、三井ガーデンホテルズによる「親子の会話の実態や親孝行に対する意識調査」を見てみると、親に贈ったものの比率は「食事」「食品・飲料」「旅行」の順に高いことが分かります。
親への贈りもの
また、メディケア生命保険株式会社「家族の絆と老後の生活に関する意識調査2014」によると、親孝行に1年間で使える金額として最も多かった答えは1万円~2万円で、次に多いのが5万円から10万円と、人によってバラつきがあるようです。
ただ、親孝行の実態はというと、8割近くの方が「親孝行をしたいと思っている」一方で、5割近くの方は「できていない」と回答している調査結果もあります。親孝行ができない理由は、「具体的に何をしたらいいか分からない」が最も多く、親孝行はしたいが、何をしたらよいのか分からず、行動に移せていない方が多いことがわかります。
親孝行って・・・
「親孝行したいときに親はなし」とよく言われます。
セイコーホールディングスが発表した「セイコー時間白書2019」(2019年6月6日)によると、10~60歳代の方で、父親と過ごす時間が足りないと考えている方が77.5%、母親と過ごす時間が足りないと考えている方が76.9%もおり、多くの人が大切な人と過ごす時間が足りないと感じていること、また親世代も寂しい思いをしているであろうことが察せられます。
親との時間が足りない理由
そして、真摯に考えてもらいたいデータとして、親と「人生の中であとどれくらい一緒に会って話せる時間が残っているのか?」を算出した表があります。
当然ですが、年齢とともに親と会って話せる生涯時間はどんどん短くなり、親と別居している40~44歳の人が親と会って話せる時間は、母親が20.7日(496時間)、父親に至っては9.5日(228時間)しか残されていないようです。
大切な人と会って話をすることができる
生涯残り時間
これら2つの調査を見て感じるのは、掛けるお金の多寡や贈り物の内容以前に、直接「感謝の気持ちを伝えること」や「同じ時間を過ごすこと」自体が、本当の意味での親孝行なのではないか、ということです。
まずは親と「直接会うこと」「話すこと」から始めてみましょう。
月に数回は電話するなどコミュニケーションを密にし、気軽に話し合えるような関係を保つことが大切です。
ある程度コミュニケーションが取れるようになったら、親が元気なうちでないと話せない「これからのこと」を中心に話してみましょう。
例えば、
- これからやりたいことはあるか?
- 老後は実家に住み続けたいか?
- 介護になったら自宅で過ごしたいか?高齢者施設に入りたいか?
- 住み替えたい場合、実家や土地はどうしたいか?
などです。それら親の意向を聞いた上で、
- 自分たち(=子ども)にどんなサポートができるか?どんなサポートをして欲しいか?
まで聞いておきましょう。
最初は何を聞けばよいのか分からないことだらけだと思いますので、まずはファイナンシャルプランナーなど、その道のプロに相談してみるのも良いかと思います。
いずれにせよ、親が元気なうちに真意や気持ちをハッキリ聞いておかないと、今後の後悔につながりかねません。
親が「いざ」という時に真っ先に相談できる子であることも、立派な親孝行だと思います。
親と話しておきたいこと、1冊にまとめました。